朝日AIフォーラム② + アート展
朝日AIフォーラム2日目はドワンゴ人工知能研究所長 山内宏さんの講演を聴いてきました
タイトルは「汎用人工知能の開発を脳に学んでBeneficialなものとする」です!
簡単な要約はこんな感じ。
従来型の人工知能はディープラーニングの目を実装し、身の回りの物理的世界を学習していくところまで来ている。ただ、実世界は、データの少ない未知の状況での一歩進んだ推論と知識を獲得しようとする自律性の相互作用を兼ね備え、広いタスクに柔軟に対応していく必要がある。これを目指すのが汎用人工知能(AGI)。ただ汎用的といってもモデルがないと何もしようがないので、動物、人類の脳の器官を参考にする。これが全脳アーキテクチャの考え方。
特定(タテ)
非脳的 Expert AI⇔全脳アーキテクチャ 脳的
(ヨコ) ⇔
Scientist AI ⇔Interface AGI
汎用
脳に似せるひとつのメリットは人間と接しやすく、社会にうまく合う可能性があるため。人間の汎用性を支えているのは大脳新資質であり、canonical cortical circuitという同じ基盤がたくさん集まって、多様なインプットに対応し、機能を生み出しているのだが、そんな考えを模したAGIによって脳(
fMRI, EEG-コネクトノーム-[ ]-二光子イメージング-電極)とニューロネットワーク(マッカロック・ピッツモデル-パーセプトロン-機械学習-ディープラーニング-[ ]-完全なANNモデル)のニッチを埋められる可能性がある。
http://www.kogures.com/hitoshi/history/neuro-computer/index.html
そしてこのAGIに不可欠なKnowledgeは再利用性*(使える形になってるか)を満たしている必要があるし、脳の部品と理論/モデルに基づいて実際に利用されるという2ステップがある。
*WBAI 抽象的な運動系列の性質を個々に抜き出せるかみたいなこと(2色のボールを掴むという例だったら、青のボールを取るとか、ゆっくり離すとかいったこと)
そしてそして脳の機能をどうやってコーディングしていくか。脳の器官の意味づけや能力を機械学習とかいったニューラルネットワークモデルに、コネクトノームをモデル同士のつながりに応用する。実際、knowledgeを様々に組み合わせてタスクをこなすわけだが、これをenvironmentとする。AGIの利益が独占されないよう、研究を分散させるといった配慮も忘れてはいけない。最後に、AIは毎回ニューロネットワークのルートを変えるようなことは少しずつできてきてはいるが、類推やフレームワークの応用(バネの問題に波の知識を使うなど)はまだ難しい。
はい、難しかったです…本当の研究はこれより数百倍難しいと思います…これでも一般向けなので笑 たぶん色々専門的な表現が間違ってると思うのでご容赦くださいー
ここでは既存のknowledgeを組み合わせて、将来起こりうるタスクに柔軟に対応していくことが主に知性と考えられてるけれど、脳をコンピュータに実装しようという試みによって、神経科学とAIとソフトウェア工学の知見が融合して、知性がモデル化され、少なくとも理解しやすい形で改めて知性を考えることができる点にとても惹かれます
この後、落合陽一さんの個展「落合陽一、山紫水明∽事事無碍∽計算機自然」を観に行ったんですが、さっきのモデル化された知性を有に超えていくのが人間あるいは天才の知性だと痛感しました^^;
※作品の写真を撮っていいか分からなかったので、入り口の写真だけ
とりあえず分かったような分からないような気持ちに苛まれるんですけど、自然と媒体の概念を打ち壊しにきていることだけは理解できました笑 自然美がデジタル化されているけれど、それでいて、こんなに日本的な妙を感じられるとは…
思考を分類してみたりすると(実際はこれらが複数組み合わさっているけど)、
概念思考
表象思考
言語思考
形式思考・機能思考(何かを当てはめたり、何かをなすために考えるロジックやシステム的なもの)
とかが挙げられるんじゃないかなと思うんですが、落合さんの場合、超思考をやってのけてるんじゃないかと。感覚がイメージに先立っていて、言語レベルを超えたところで思考が進行している感じを受けなくもない。感覚のフローから下位の言語に翻訳している。
しかも未知の融合や創造が繰り出される元は脳であるという事実。でも思考自体の概念すら思考で有に交わすことができたりする。そしてこれが思考の骨頂なのかなみたいなことを考えたことを思い出しました。
知性について考える有意義な1日でした!